2014/10/31(金)
仕事が休みだったので無意味に山梨に行くことにした。
異常に綺麗な紅葉を前に秋なのかーなんて思いながら、
雨降りで何も見えない山中湖と河口湖を横目で見やる。
延々と続く山道が終わると、延々と続く下り坂になる。
両側を寂れた大量の果樹園が出迎えてくれる街・山梨。
ほったらかし温泉にでも行こうかと思ってたんだけど、
温泉の気分じゃなくなっていたので無駄に車を走らせる。
山梨、信玄餅と果樹園しかないし雨で富士山は見えない。
僕はなんでこんなとこにいるんだろう感しかなかった。
僕の人生、どこで間違えたから山梨にいるのだろうか。
季節外れの平日の雨の山梨とか信玄餅しかないじゃん。
っていうゲームを考えたけど1人では死にたさしかない。
(誰か山梨行って遊んで僕に感想を聞かせてほしい。)
なんだよ世の中はクソかよ、クソしかいねー世か全く。
そんな悟りの精神でドライブしてたら道の駅を発見した。
道の駅とよとみ。
煙草吸って休憩してたら、「こんにちは!」っておっちゃんが話しかけてきた。
「携帯中に話しかけたら若い人には怒られちゃうね!!」って、そう思いながら話しかけてくるの団塊世代って感じあるし僕はそういうの好きなので「こんにちはー」って好青年な感じで返しましたよ。
「この辺の人?俺は植木屋なんだけど、今年66歳になってね。去年と同じ時期に同じ家の同じ木に登ったら、ずいぶんえらくてねぇ(つらいの意)。すぐ親方に休ませてくださいって言って今日は休みですよ!!」
なるほど確かに武道をやってそうな立ち姿をしていると思った。
バランス感覚のある人の佇まいをしてるし職人さんだーって感じ。
にしても、相手に喋る暇を与えず自己紹介と自分がこの場にいる合理的な説明をするとは、このおっちゃん出来るな。
「私は昔っから知らない人に喋りかけるのが好っきでねぇ。休みの日にこうやって知らない人と喋るんですよ。30年前からの趣味なんですよ。今日は仕事で来たんですか?」
休みだからブラブラしてるだけっすよーやることなくてー。
「私も今日は休みですよ、このまえ去年と(以下、同上)」
にこやかに喋り倒すおっちゃんの横で置物のようになって俯いてる奥さん…30年間も付き合ってきたのか凄いな。女性の偉大さを、こういうところに見出してしまうよ。
「私はスタンプラリーやってますからね。この道の駅は凄いですよ。土日なんかパチンコ屋ですよ?」
開店前に並ぶんですか。そういえば美味しそうな野菜売ってますもんね。
「ここは全国の道の駅で売り上げ1位ですよ!!!」
道の駅のスタンプラリーやってる66歳とはいえ、たぶん、嘘だと思う。
「どこに行くにも車です。仕事が全部、現場に車移動だから。新幹線は乗ったことないです。けっこうそういう人多いですよ」
確かに、山梨から新幹線に乗ろうと思ったらわりと大変だな。
新幹線乗る労力考えたら割りに合わない感あるなーなるほどー。
「でもね、新幹線には乗ったことないですけどリニアには乗ったことありますよ」
この台詞、山梨県民力が相当高くないと出てこないよなって興奮した。
「免許証くらいの大きさの証明証を貰いましたよ。3年前ですけどね」
全然いらないという点においてのみ、すげえ欲しい。すげえ無駄だな。
というような会話を15分ほどしてきた。
最後らへんはおっちゃんの方言全開で文字にするの難しい。
山梨方言、静岡県西部よりの方言とわりと近いなって思った。
そのあとは身延町方面へドライブ。
「カーブが続きます」を連呼するカーナビに発狂しそうになった。
道中、「右左峠」ってのがあって読みは「うば」という変な地名。
由来が気になるけど、解明する気は微塵もない。
謎は謎のままにしとくのが美徳だと思うのですよ。
結局、山梨に何があるか解明してないから無意味に行く場所の候補に挙がるわけで。
よく分からないまま無目的になんとなく行って、よく分からないまま帰ってくる。
土地のことなんて住まないと分からないし観光地だけがその土地の全てじゃないし。
なんでもないような、よく分からなさを僕は無意味に無駄に大事にしたいのです。
ただ、山梨の道の駅にはスタンプラリーと初対面の人と喋るのが好きな66歳の最近ちょっと木に登るのがつらくなってきた旅行は自家用車派のおっちゃんがいることは確か。
このおっちゃんとの出会いは、この日を最高に有意義な1日にしてくれたと思う。