バイト中に覚えた用語などを記憶の限り書いておく。なお、3年前のため、大部分の記憶は既にない。
赤色:品種
青色:作業用語
水色:業界用語?
緑色:ジジババ語
- いける【埋ける】
畑に掘った穴に芋を埋めること。
- 泉13号
- 芋飴
重曹水にさつま芋をぶち込んで煮て水飴状にしたもの。約70年前、ジジババが幼少期に食べていたもの。
食べるものに不自由する時代の、貴重な甘い食べ物だったとのこと。
- いもだし【芋出し】
埋けて熟成された芋を掘り出すこと。
- 遠慮と貧乏はするだけ損
太っ腹おやつ子さんの口癖。
「遠慮と貧乏はするだけ損なんだから、貰いなさい!!食べなさい!!いいから!!こら!うだうだしてないで早く取りに来な!!!」
- おろし【降ろし】
トラックから芋を降ろす作業のこと。
軽トラックに満杯のコンテナ(1個あたり約17kg)を降ろすという筋トレ。トラックに上げるよりは楽だけど、つらい。
- 柿が赤くなると医者が青くなる
柿が旬の時期に連呼された言葉。「柿が赤くなると医者が青くなるだで、柿食べれば医者いらずだに!」
柿を食べればビタミンCがたくさん摂取できるらしいぞ!
- 角切り
四角い棒状の干し芋のこと。
- かわむき【皮剥き】
加工作業における無限地獄作業の1つ。
数百kgのさつま芋を一気に蒸かして、冷める前に剥かないといけないため、スピード勝負である。
- カラス
カラスはさつま芋を食べる。
畑で芋を寄せ終わった後に、すぐ来る。どころか、作業が落ち着くのをずっと監視してやがる。人間ですら当日にどの畑をやるか教えられるのに、すごい。賢い。
- 機械化
農家なんて機械入れればいいじゃん!みたいな風潮は、現場を見てから言え。
まず、農業界隈の機械というのは何でもかんでも軒並み高い。高すぎる。何千万円とか何億円とかする。とても導入できない。
だから、もっと安価に、例えばラズベリーパイとかに安いwebカメラ使ってAIサービスと組み合わせるとかすれば、爆安で機械化できそうじゃん。そういう、単に機械化といってもさ、このご時世さ、ゴリゴリの何億円のハードウェア勝負じゃなくて、ソフトウエアで何とかすれば数万円で何とかなるんじゃないの!?全行程の一部分だけをクソみたいにちゃっちい、けど、有能な機械を入れるだけでもさ、ビジネスチャンスなんじゃないの!?極端な話、スマートスピーカーを置くだけでも改善される仕事って、地方のクソ会社には山ほどあると思うんです。都会民よ、お前らのデジタルネイティブを活かせるのは地方だぞ。
- きんりー
「うまいきんりーが食べたいのぅ」
- クイックスイート
さつま芋の品種の1つで、紅あずまから作られた品種。
個人的には好きじゃない。
- クワ2振りで息が上がる
数日でバックれたおっさんが鍬2振りで座り込んだことから。収穫が終わるまで、鍬を使用する度にネタとして使用された。
- クワ2振りで心臓が止まる
息が上がるネタが使い古された頃、「鍬2振りで心臓が止まるんで勘弁してくださいよ〜」という発展形が生まれた。
- けっこい
綺麗の意。
「この芋はけっこいなぁ」
「けっこくやらにゃ仕事じゃないに、手を抜いちゃいかん」
- こぐ【扱ぐ】
『草木を根のついたまま引き抜く』という意味。僕が体験した農作業においては、トラクター(あるいは耕運機)で芋を掘り起こすことを指す。
- こしき
さつまいもを蒸すときに使う蒸し器のこと。
1m四方くらいの大きさで、200Kgくらい入る。それを4つくらい重ねて一気に蒸すため、1回に800Kgくらいを蒸すことになる。
- こなふき
干し芋を保存していると白い粉を吹く。これは糖分が結晶化したものである。干す時間や保存方法によって粉を吹くかどうかは調整できる。
食感や味が変わるため、農家それぞれの好みや趣味や売れ行きで粉を吹かせたり吹かせなかったりする。
あえて粉を吹かせなくても長期間保存すると粉を吹くので、新品なのか古品なのか分かりづらい。なので、あまり良いイメージはない。
- こんたび
「この度」が訛ってるジジイの口癖。
「こんたびは、こういう風にやってみろ!」
- コンテナ
カゴのこと。収穫用とか、皮を剥いた芋用とかに、大量に使う。
コンテナにはビジネスチャンスがあると思う。規格とか現状のコンテナの性能とか調べると面白い。ちょっと農家の意見を取り入れて改良したら売れる製品が作れるんじゃなかろうか。
- さしみ
正四角形でない角切りの干し芋に対する表現。
芋を角切りにする作業は手作業なので、下手くそがやると綺麗な四角にならず、平行四辺形になる。
平行四辺形の干し芋をベテランが揶揄するときに使う。
「これは干し芋じゃなくて立派な刺身だなぁ」
↓これが普通
↓これが刺身
- さつまいもは慣れた頃に終わる
さつまいもの収穫は、霜が降りるまでの短期決戦。1ヶ月程度しかないので、身体が慣れてきた頃に終わってしまうという昔から伝わる言葉。
実体験例「初週:筋力不足で筋肉痛 第2週:体力不足で夜は爆睡 第3週:溜まった疲れで身体が重い 第4週:ようやく慣れてきたぞ!!→終了」
- 3千円の鎌ならよく切れる
鎌が切れなきゃ仕事にならない。2千円の安いやつは切れなくてイライラするので、千円出してでも3千円の鎌を買えという婆さん達の言葉。千円違うと大違い。道具はケチっちゃ駄目ですよ。
- 砂地畑
さつま芋は、水はけのよい場所で育つため、砂地でも土でもイケル。が、土畑で育った芋は土の匂いがする。
真にさつま芋の甘味を感じたいなら、砂地畑で育てるべし。
- 相撲を取る
転ぶこと。「手に砂を持つ」とも。
大人になってこけるとダサいけど、「なに相撲取ってるだ?」ってジジババに言われると救われる、そういう世界に俺たち生きてるじゃん?
- そうめん
芋を撞くときにできる切れ端の部分で、規定の太さにならない細長い干し芋のこと。
細いので良く乾き、出来上がりは固くなるが、硬い方が好きという人もいる。
- だーたくたー
雑なこと、乱雑、「ぶしょったい」に通じる方言。
「だーたくたーにやっちゃダメ。けっこくやらにゃ」
- 立ち小便
畑で作業中にトイレに行きたくなったらどうするか。ある婆さんは凄い。その辺でする。野良犬と並んでする。隠れもせず見せつけるかのごとく堂々とする。
畑にトイレはない。これが概ね一般的な事実であり、そういう世界なのである。
真面目に、畑にトイレなんてあるわけねーんだけど、トイレ行くには工場やら近所のコンビニやら公園やら、何にせよ遠出する必要があり、これも女性参加が難しい原因の1つかもしれない。昭和初期のババアは強いけど、ゆとり女子には厳しい世界だ。かといって畑仕事は男、工場作業は女、なんてやってられん時代だしねぇ…。
- ちんびくさい
「小さい」の方言。
「そんなちんびくさい芋は捨てちまえ!」
- つく【撞く】
皮を剥いた芋を干し芋の形状に加工する作業のこと。
角切りの場合は、ピアノ線を貼ったところに芋を通して、90度回転させてから、もう一度通すことで四角く切る。
これが下手だと、刺身職人の称号を得ることになる。
平切りの場合は1回だけピアノ線を通す。
角切りと平切りで厚さが違ったり、農家ごとの乾燥のさせ方でピアノ線の間隔が違う。
この芋撞き機、すごい高くて1台3万円くらいらしい。量産品じゃなくて職人の手作りだからね。
- つるぼけ
蔓や茎や葉ばかりが育って、肝心のさつま芋が育たないこと。
- つんび草
つんびとは、女性器のことを指す方言。
何だったか忘れたけど、たしか「ひっつき虫」のことを指してたような…婆さん達がキャッキャしてた記憶しかない…詳細をご存知の方は教えてください…。
- トースター
干し芋を食べる時、トースターで焼く(温める)と、めちゃくちゃ美味い。100倍くらい美味い。さらに、バターを乗せても良い。
干し芋をそのまま食べるのは未開人のすることなので、文明人の皆さんはトースターで温めてから食べましょうね。
- なかおち(中落ち)
元々、水分量の多い芋や、過度に蒸かしすぎると、デロデロに柔らかくなる。水飴みたいなデロデロさになった芋は、乾燥に手間暇がかかるため、割高になる。が、めちゃくちゃ美味い。普通のより断然柔らかいし、べしゃべしゃしている。そういう干し芋のこと。
あまり作られないため、出会ったら買うべし。
- 中白(なかじろ)
しろた、しろしたとも言う。
一部が白く硬化しているさつま芋のこと。水やりが足りないとか雨が足りなくて水分が足りない状態で生育したさつま芋に見られる。
どんなに見た目が立派でも味がしないため、商品にならない(とされてきたが、ワケあり品として売る場合もある)。
生では見分けられず、蒸かして皮を剥くまで分からない厄介なもの。中白が出ると、その畑で採れた芋はほとんどが中白であり、廃棄されてしまう。
ただし、中白の芋でも、干して粉を吹かせちゃえば通常のものと見た目がほとんど変わらない。素人目に判別は不可能。味は数段落ちるのにも関わらず、普通に高く売ったりする。そういうこともあって、個人的には粉吹き芋は好きじゃない。
- ならべ【並べ】
皮剥きして撞いた芋をバラして並べる作業のこと。
- はねもの
切れ端の部分のこと。
これは農家によって意味や対象が異なると思われるが、要するに、ワケあり品の範疇。
- ばんたび
「この度」というと「初めて」という感じがするが、毎度毎度のことになると「万度」というジジイ。
「まんど」ではなく勢いよく「ばんたびっ!」と言うのがポイント。これを言うことによって続く言葉にパワーが出てくる。
例「ばんたびっ!失敗ばっかりして、お前はダメな野郎だなぁー!」
- ひら(平切り)
薄い小判型の干し芋のこと。
バイト先では平は高級品、普通のは角切りだった。見映えがいい小判型で、味の良いものだけを厳選して平切りにしていた。
何でもかんでも平切りにしてる干し芋を見ると、汚ねぇなぁ〜と思うようになってしまった。
- 紅はるか
2015年時点で流行の兆しがあり、2018年現在は完璧に干し芋業界で流行り。流行りというか定着してきたか?
2010年に登録された新しめの品種で、蒸した時にめちゃくちゃ甘い。安納芋より甘いシルクスイートなんか目じゃないくらい甘い。
めちゃくちゃ美味いから、他より高くても紅はるかの干し芋を買うべし。
焼き芋にしても抜群に甘い。
- 紅きせき
新品種?のさつま芋。2015年時点で近隣で作っている農家は1箇所だった。
2018年現在もマイナーなようだが、次世代を担うか??
- 変なところに芋がある
猥歌というか、春歌のひとつ。正式な題名は知らんが、「昨夜父ちゃんと寝たときは〜」のやつ。詳しくは「変なところに芋がある」でググってください。70代のばあちゃんが教えてくれた。
- ほす【干す】
干し芋の干し方には2通りある。
1つは、天日干し。
1つは、機械干し。
どちらにしても手間がかかる。
機械干しだけだと甘みがイマイチなので、機械干しのあとに天日干しするところもある。
撞かずに、1本そのまま、丸ごと干し芋にしたもの。乾燥に手間暇がかかるため割高。現在は作っている農家が少ないため、見つけたら買うべし。めちゃくちゃ美味い。
- みしくる
「むしる」の意。
「みしくる」には方言の可愛さが詰まっていると思う。
- めざましい
「素晴らしい」の意。
例「めざましくやれよ!」
「めざましくやったのに誰も褒めてくれやせんから、自分で褒めるしかない」
「(不出来なものに対して皮肉で)めざましくやったなぁ」
- よせる【寄せる】
畝に並んだコンテナを回収して周り、みしくる部隊のところに持っていく(寄せる)こと。